溺愛マイヒーロー
そんでもってその頃から、あたしは目の前にいる辻 紘斗くんに、恋の相談でお世話になりっぱなしで。

またまた深ーいため息をついた彼は、キシ、とフェンスに寄りかかりながら、仕方ないというふうに口を開いた。



「あのな、一応、参考までに教えとくけど……アイツ今日、『今は野球が1番大事だから彼女はいらない』っつってたぞ」

「えっ?!」



残念な報せに、あたしはパッと顔をあげる。

しょ、ショック……!! 戦う前から試合に負けた気分……!!

あ、でも今は野球が1番ってことは、つまりあたし以外の子とも、付き合うことはないっていうことだよね?!



「……よし!」

「は? 何が『よし』?」



心底呆れているような白い目で、突然ガッツポーズをしだしたあたしを見ている辻くん。

……もし現在彼が彼女を作ることを拒んでいるんだとすれば、それは十中八九あたしのせいに違いない。

度重なる恋愛相談に、『女はみんな面倒くせぇ生き物』とか思ってるんだきっと。
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