可愛い生徒(カノジョ)の育て方
モデルになってください!

 この春の人事異動で、ようやくド田舎から脱出できた俺は、社会科準備室で自分の資料を整理していた。

 社会科の教員は5人いるが、ここを縄張りにするのはどうやら俺だけになりそうだ。

 有り難い。教材研究も自分の勉強も、なるべく集中してやりたい。

 職員室では「仕事」はやりやすいが「勉強」はなかなかできない。勉強してると、変な目で見てくる奴までいる。

 ……全く、教員はもっと勉強するべきだ。 そんなことを考えながら、資料の整理をしていたら。

 コンコン

 ノックする音が、狭いこの部屋に響いた。

「はい、どうぞ」

 声をかけて入室を促すと、入ってきたのは女生徒。上靴のラインで判断すると……3年生。

「失礼します」

 高めの可愛らしい声、ほっそりとした姿でショートボブの黒髪が揺れている。

 人懐っこそうな笑顔を振りまいてやってきた女子が、俺の縄張りを興味深そうにきょろきょろと見回していた。

「あの~、先生の進学講習を受けたいんですけど、まだ間に合いますか?」

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