可愛い生徒(カノジョ)の育て方
 たまたま廊下にいた安西に声をかけた。

「安西、勉強してるか?」

「してますよ~!」

「おおっ! 初めて『ぼちぼち』以外の返事が聞けた気がする!」

「さすがにそろそろやらないとまずいって事に気づかされました。何かみんな最近、勉強してるんだもん」

「そうだよな~。あと実質4ヶ月しかないもんな」

 やっとそこに気付いたから、真面目に授業も受けていたんだな。

「先生、私、これからは本気で頑張ります!」

「そうかそうか、よしよし」

 これで、俺がネタにされる毎日から開放されるか!?

「それでね、先生。私、今更新中の小説が終わったら受験勉強に専念しますって宣言することにしたの。
 長い間休むことになっちゃうから、せっかく登録してくれたファンの皆様が私の事を忘れないようにって考えて、人気ジャンルで勝負してみたんです!
 先生はまた『よくこんな妄想が書けるよな!』なんて言うかも知れないけれど、今のところいい感じで読者が増えてるんだから!!」

 こいつが自分で『妄想』だと自覚する位だから、相当な妄想小説なんだろうな……。
< 106 / 282 >

この作品をシェア

pagetop