可愛い生徒(カノジョ)の育て方
12月の閻魔帳
 街中がクリスマスムード一色の中、職員室は期末業務一色になっていた。

 この調子だと今日も12時まで仕事か……。

 250枚の丸付けと評価は、待ったなしの状況だ。

 そしてまた、出前のとりまとめをする俺。麺類は飽きてきたので、今日はピザだ。

 有難いことに、事務員さんがチラシのクーポンをとっておいてくれた。


「松本先生、気をつけたほうがいいかもよ」

「はい?」

「4組の沖さん、先生のこと狙ってるから」

 ピザを食べながら、養護の先生が俺に忠告してくれた。

「はぁ……」

「あの子、マジだと思うから、二人っきりにはならないほうがいいと思う」

「そうですか、わかりました」


 講習の時、いつも一番前に座っている生徒だった。

 可愛い、というより気が強い美人系だな。

 正直、俺の苦手なタイプだ。

 男と女、両方ツッコミだとケンカになる。

 大学時代、それを嫌という程味わったっけ。


 ……それはともかく。受験前に余計な悩み事を増やさないために、俺は彼女から逃げきろうと思った。

 養護の先生が、多分校内で一番こういった情報に精通しているんだろうな。
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