可愛い生徒（ｶﾉｼﾞｮ）の育て方
２月の閻魔帳
　……今頃、国語の問題を解いているのだろうか。

　時計を気にしながら、職員室で仕事をしていた。

　今日はR大学の入試日。

　本命が一番最初の受験になる日程だが、これさえ上手くいけば波に乗れる。

　とんでもないおバカなミスをしない限り、合格圏内に入っているのだが……。

　何しろあの安西だ。心配でしょうがない。

　それでもまだ、自宅から受験会場へ行ける分、有利である。

　安西には「制服を着ていけ！」と言っておいた。

　うちの高校からも、何人かはここを受験する。

　周りが敵ばかりに見えてしまう会場で、馴染みの制服が見えたら、それだけで心強い。

　昼飯食べる相手とか、見つけやすいだろうし。

　ついでに「現役生」で「進学校」の生徒であるという、周りに対する無言のプレッシャーを与えたりもする。

　私服の方がリラックスできるならそれでかまわないが、こんな利点もあるので、俺は制服がオススメだ。

　……実力が発揮できれば、合格のはずだ。

　健闘を祈る。
< 196 / 282 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop