可愛い生徒(カノジョ)の育て方
7月の閻魔帳
 また、この季節がやってきた。俺の運命が変わった夏。どんなに努力しても、必死に祈っても、叶わなかった俺の願い。

 学校祭の雰囲気が苦手だ。あの頃の感情が、昨日のことのように蘇るから。

 夏休み前の、生徒にとっては一番楽しい季節。教員にとっても、期末考査と1学期の評価が終わり、ほっとする時期でもあるのだが。


「そろそろ総下校の時間だから、後始末して帰りなさい」

 各クラスに声をかけて、生徒を下校させる。

「先生! まだ準備が終わんないの!」

「もうちょい残らせて!!」

 口々に時間の延長を求める生徒。

 気持ちは解るが。

「ダメだ。もうすぐ機械警備に切り替えるから、こんなところにいたら、警報器が鳴る」

 そうなのだ。うっかり機械警備作動中にうろつくと、警報器が鳴って、某大手警備会社が飛んでくる。

 飛んでくる前に、

「すいません、今誤作動させました」と、恥ずかしい電話をすることになるのだが。
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