twin∞soul
花屋のバイトが終わり、いつもの場所へと急いで行く。

薄暗いベンチに、流は静かにっていた。

「流!」

駆け出す足は軽やか。

仕事の疲れがブッ飛ぶくらい。

「笑、お疲れ」

「流も、お疲れさまぁ」

私は自転車を流の自転車の隣に置いた。

私はカバンから雑誌を取り出し、

「ジャン!」

「何、おまえ。もしかしてコレ持ち歩いてるとか?」

「アッタリ~♪」

流は雑誌を受け取り、中身を見る。

「味覚の秋ねぇ~...で、コレ見て一人で想像力膨らましてる訳だ?相変わらずキモイな」

ウハッ!

またイヤな言い方されたし。

でも、いつもの事だからいいや。

「ニャオ~ン♪…ねぇ、またおねだりしてもいい?」

ちょっとだけ甘えた声で、猫のマネして言ってみる。

「いいよ。美味いモンでも、食べに行きたいんだろ?...そうか、そんなに俺に野生的な部分を見せたいのか」

「野生って、人を獣みたいに言うな!」

「どう見ても獣だろ。吠えるし、突っ走るし、人喰いの猛獣?...丸飲みだろ?」

って、流はわざと私に得意の流し目をして、エッチな言い方をした。

「バカバカ!コイツ本当に嫌い!」

「ハハハッ!笑、ウッケる~!」

あっ、流また凄く笑ってる。

楽しそう…嬉しいな。

「流、ムカつく。すぐ意地悪言うもん」

ウソだけど。

本当は今の感じ、凄くドキッとしたの。

「笑の反応が面白いから、意地悪したくなるんだよ」

「人の事、試すような事するんじゃない。私は流のお試しサンプル品じゃないんだよ?」

「当たり前だろ。俺は笑に本気だから」

あっ、急に目がマジになった。

「笑は?...笑は本気?俺の事、本気?」

こんな事、聞くんだ。

もしかして、流も不安になったりするの?

「私は流に本気だよ。この先何が有っても、いつも流の事しか考えないし、どんな状況化に置かれても、私は流が大好きだから。流にしかこんな私も見せないよ?」

「信じていい?」

「流が信じろって言ったんでしょ?」

「そうだな…」

流は、私を引き寄せギュッと抱き締めた。

「こんな言葉を簡単に俺に言わせてしまう笑は凄いよ。...好きだよ、笑」

流は、顔を傾けて覗き込むようにキスをしてきた。

軽いキス...それから深いキスになる手前で、また流の携帯電話のバイブが鳴った。
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