twin∞soul
「個人の事なので、あまり立ち入る言葉は欠けてはあげられませんが。彼女はもうここの場所には居られないと、辞めるつもりでいます。辞めて実家に戻ると言っていましたよ」

「あの、じゃあもうここには?」
「おそらく、もう姿は見せてはくれないでしょうね」
「そうですか...」
「流さん、あの子に会いたいですか?」
「それは、もちろんそうですが」

もう、実家に戻ってしまったかも知れない。 そうすると、もう二度と会えないな。

「個人情報だから、違法になってしまうかも知れないけれど、あなたは彼女の運命の人だと信じて、こちらの住所をお渡しします」

笑のここでの住所と、実家の住所が書いた紙を渡された。

「ありがとうございます」
「いえ。これさえあれば、あなたも少しは落ち着くでしょ。まずは、その前に流さん自身の問題を解決させてから、あの子に会ってあげて下さい」
「すいません、本当にありがとうございます」

頭を下げて、財布に紙切れをしまう。

とにかく、少しの時間でもいいから笑に会いたい。

住所を調べて、家をまずは突き止めなくては。

「そんなストーカーみたいな行為して、いい年して見苦しいですよ!」
か...。

そうだよ。俺はおまえが俺を知る前から知っていたんだよ。

俺はおまえのストーカーで何が悪い。

会社帰りに、ほんの五分でも十分でも笑の住むアパートの前で俺はアイツが家の近くを通るのを待っていた。

周りに変な顔されようが知るか。
寒さなんて、雪だろうが雨だろうが、知るか。

しかし、201号室からは男が出入りしていた。
間違えてるか、俺は。

何日も何日も続けて、さすがに真冬となると身体が凍えるから、会社の軽自動車で、笑のアパートの前に立ち寄っていた。

...えっ...。

見上げた扉の隙間から笑が見えた。
そこから、いつもの男が出て行った。

笑は当たり前のように、その男に手を振っている。

どういう事なんだ。
< 188 / 206 >

この作品をシェア

pagetop