愛のために生き、愛に殺された。
まさか路地裏で、こうも簡単に『生きていた』人間が消されるなんて思ってもないだろう平和ボケした人間は、ああなんて汚らしいんだ。



「ミチル……」



寄りかかっていた壁から離れ、笑顔で人を『消している』ミチルに後ろから抱きつく。



「そいつの相手ばっかしてねーでさ。俺の相手しろよ。さびしーじゃん」


「……あひゃ、ユウってば欲求不満?」


「かもな。お前以外、俺は何もイラナイんだからさ。お前で俺を満たしてくれよ」



更に力をこめて抱きしめると、しばらく黙っていたミチルも、片手に持っていた血だらけの鋏を地面に落とした。


かと思えば、俺の手をとり少し距離を置いて壁に寄りかかってしゃがみ込む。

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