鈴音～生け贄の巫女～

さて何故こんな事になったのかというと、遡ること数時間。


朝食を食べ終えた凜の元へ再び現れた長老は、ひとつ提案がございますればと佇まいを直し。

それにつられるように背筋を伸ばした凜は、一体何が告げられるのかと構えたところ。


『ひとつ、この村にこられた凜殿との廻り合いを祝して宴でも』


はっきり言って、凜は拍子抜けした。

そして、はっきり言ったついでに正直を申せば、宴なんぞを開いて祝いたいことではなかった。


今自分がこの村に有ること、それは神隠しにあったと言うことであり。

もう現代に戻れぬ、それを祝ってどうするのやら。

むしろそんな運命を取り決めた神とやらを呪ってやりたいくらいだと言うのに。


『宴、です、か、……』


『あぁ、そんなお顔をなさいますな、』


『すみま、せん……』


けれどもどんな顔をして、どんな答えを返せば良いのかとんと検討のつかぬ。