鈴音~生け贄の巫女~


「御初にお目にかかりまする。今宵より凜殿の御世話役を仰せつかりましては、私、名を千夜(せんよ)と申します」


「そしてその弟、百夜(びゃくよ)にございます。どうぞ何かあらばお申し付けくださいませ」


「あ、」


恭しく頭を垂れ挨拶をしてくるものに瞠目し。


どうしたものかと些か距離をおいて此方を見ているシンに戸惑いの視線を向けるが、対して返ってきたものとは一つの頷きだけ。

それはつまりどういうことなのと心の中で叫びつつ、未だ己に頭を下げる二人の肩に手を添えて。


「ありがとうございます。えぇと、千夜さんに、百夜さん」


その手に促されるまま、顔を上げた二人の面は瓜二つ。


漆黒のショートヘアに漆黒の瞳。



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