鈴音~生け贄の巫女~


「だが、もし」


言葉を続けるシンは、その様子に瞳を落とし見て。


「この、俺を、お前が信じてくれると言うならば、俺はお前を助ける事が出来るだろう。今までと、同じように」


そして、最後に。


「だが、絆されてはいけない」


静かに告げたシンは、己の手の中から髪を逃がし。

まるで意味がわからない、という顔をする凜に淡く微笑んだ。


その笑みが、あまりにも悲しげで、切な気で―――………何故?どうして?、と。

そう聞き返すことを許してくれずに。


チリン。

チリン。


鈴の音残し去るシンの姿を、見えなくなるまで見送る。


さても賑やかな夜は、ゆっくり、ゆっくり、しかし確実に、更けゆくのだ。


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