鈴音~生け贄の巫女~


感情を色濃く表すは瞳であり、それには暗く深い、焔のような憎悪、嫌悪、復讐心が渦巻いていることを。


だからこそ、何ものべずにただ頷いた。

頷いて、同じく鋭い視線をシンと凜に向けるのだ。


逃げろ、というわけではない。

死ね、というわけでもない。

ただただ、憎いと言う刺すような視線は殺気と共に。


そしてもう一つの視線は、困惑にも似たような揺らぎを見せつつも真っ直ぐにい抜くように観察する。

子供たちと手を繋ぎ、遊ぶ二人を。


「勝って嬉しいはないちもんめ」


「負けて悔しいはないちもんめ」


子供たちの声が境内に響く。

誰一人として、その二つの視線に気付きはしなかった。



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