ナ ニ モ ナ イ ト コ ロ【思集】
+ 煙草の煙、舞う

俯いてくわえ煙草をしていると、煙草の煙が目にしみて泣けてきた。

泣ける程落ち込んで俯いている訳じゃない。

それでも数分後には、煙が涙を誘い、俯いている事に気付かされる。

くわえ煙草は俺の癖だ。

煙を避ける為に片目を閉じてまで治らない癖は、両の手を自由に使いたいから?

それとも煙草を持つことすら面倒くさいから?

この異なる二つの理由は確実に対を成す事に笑える。

笑うと益々煙が煩わしい。

何で上に向いて散って行くのだろう。

重力に反発したい位ここが嫌なら、俺まで泣かす事はないじゃないか。

片方で泣いている俺。
全身で俯いている俺。

この異なる二つの俺は確実に対にならない事に開き直る。

山へでも出掛けよう。

何をする為にって?

寝っころがって、煙を自由に空へ舞わせる為だよ。

そして涙を流したくないからさ。

くわえ煙草は止められない。

自分は変えたくないんだ……

それに、簡単には変えられない。

だから上を向くんだ。

取り敢えず……





笑夜



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