鬱になれる短編集
ある森の白い塔
誇らしげに。
絶壁へ雨が降っていた。
崖上に咲く、生まれたばかりの草花を狙い打ちにしているようだった。森の一端から一端へ潤いを与えている。
ある若菜は身をよじらせて喜んでいるようにも見えた。

崖下には二人の子供がいた。
男の子と女の子。
羨ましいのか、若菜を見つめていた。
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