鬱になれる短編集
親友は廃墟を下り、残骸となった兵士を無感情に見つめる。

暗い。戦場。
照度的にも感覚的にも。
時間の感覚など、とうにない。降りしきる雷雨の前では時期を知る術もない。

もっとも、知る必要は親友にはなかったのだが。

なぜなら一人で闘い抜くと決めたから。手持ちの銃弾を使い切ったら帰省しようと決めたから。

親友は兵士達の荷物をあさる。食料を求めて。
< 5 / 47 >

この作品をシェア

pagetop