抱いて、抱かれて、堕ちて、溺れる。




そこにいた暁は…今までにないほどに悲しい瞳をしていた。




何故か、その瞳にまた惹かれている自分がいた…。





暁の顔は涙でぐちゃぐちゃだった。





一体、何時間ここで泣いていたんだ…?





ずっと…一人で…泣いていたんだよな…。





『何で此処に来たの!?彼女に怒られるよ!?』





わからないんだ…。




気がついたら、ここにいたんだ…。




俺は、暁の手を握ろうとしていた…。





『もう、放ってよ!!』







暁は俺の手を振りほどき、出ていってしまった…。








さよなら…言えなかった。





ちゃんと言いたかった。






『好き』という言葉と一緒に…。






俺は、ゆっくりとドアを閉め…




大声で暁の名前を叫び、そして、泣いた…。







< 162 / 287 >

この作品をシェア

pagetop