寮の夜は甘い夜。





チュンチュンという可愛らしい鳥の声で起きるなどということはなく。









けたたましくなる目覚ましで反ば無理矢理起こされた。









「由良〜、目覚まし煩い。









今日学校休みだよー?









なんでならしてんのさ。」









「え、休み?」









なんだ、てっきり学校かと思った。









ちょっとラッキー。









目覚ましを止めてまたぬくぬくとした布団へ戻る。









「昨日さ、いつから寝てた?」









楓が真剣な顔をして聞いてきた。









「楓で揶揄ったところまで。」









ちょっと皮肉を込めて言うと、楓はポカーンとして、









「揶揄ったっけ?」









「あー、覚えてないんだ。」









そうして私は昨日揶揄われた事について楓に事細かく話した。









「俺、揶揄ってない。本気だよ。」









「そんなわけないじゃん。









学園の王子様がそんなこと言っちゃだめだよ。」









「なんでよ。俺は由良が好きなんだけど。」









「や、だから・・・」









楓がどんどん不機嫌になっていった。









心なしかどす黒いオーラが・・・









え、怖。









「由良、好き。









本気だから、ね。









絶対、惚れさせるから。」









「無理でしょ。」









「言ってろ。最後に勝つのは俺だ。」









楓が本気とは考えにくいんだけどなー・・・




< 31 / 106 >

この作品をシェア

pagetop