寮の夜は甘い夜。
「………んぅ」




普通に息を止めれば30秒はいけるのに、どうしてキスではすぐ苦しくなっちゃうんだろう。




心臓がバクバクしてて、座ってるのも辛い。




楓は、吸うように何度も何度も角度を変える。




嫌だと思わない自分がいて、もっとしていたいと思う自分がいて。




確実に、楓に心が動き始めてるのを認めないといけなかった。




こんなこと、絶対楓に言いたくない。




言ったら負けの気がする。




でも、かといって言わないまま、楓に彼女さんができたらどうしようって。




「んっ………」




考えてられない。




酸素が足りない。




さすがに、もう放してほしい。




楓は、啄ばむように弄んでいた唇を離すと、急にもたれかかってきた。




脱力した私は勿論、楓を受け止められるはずもなく。




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