人喰い蟲
あと数分もすれば、
隼人の胸からあいつが、
飛び出してくる。
『ワ、ワカッテルヨ。賢二、オ、お前ダッテ…。この胸から…あいつが飛び出す前にその剣で俺を殺してくれ。』
隼人は泣きながら、
そう俺にいった。
隼人を助けられなかった。
『あばよ。相棒。』
俺は、張り裂けそうな胸の痛みを隠すように、
腰につけた剣で
隼人の胸へめがけて、
差した。
そこには、
死に絶えた隼人と
心臓を喰らった寄生虫の死んだ姿があった。
この世はすでに
地獄と化している。