淡色ドロップス





瀬野くんが口頭で住所を告げる。

「え」

そ、そこ私の家じゃなくて瀬野くん家。


「あ、頭回らん。
なんで瀬野くんがあそこにいたの?」


足を組みながら不機嫌そうに頬杖をつく瀬野くんはスーツから携帯を取り出すとある画面を突きつけた。


「っ」


そこには川口くん(サークル仲間)に膝枕をしてもらいながらスヤスヤと眠る私が写っていたのだ。


こ、これは覚えてる…。

お酒を飲んでいたら頭がフラフラしてきてそれで私…瀬野くんと勘違いして川口くんに…!


「長谷川さんから送られてきた」


莉衣が?

確かにあのとき莉衣は私の向かいに座っていたけど、まさか撮られた上にそれを瀬野くんに送っていたとは。


イタズラにも程があるよバカ莉衣!
いやバカは私か…川口くんを瀬野くんと間違えるなんて…。


顔面蒼白の私はハッと我に帰ると、慌てて首を横に振った。


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