あの日、言いたかったこと。
再会

ある晴れた午後のことだった。

俺は相変わらず姉ちゃんにコキ使われていて、暑い中買い物に出ていた。


今日はジュースとポテチ。


絶対太るな……姉ちゃん。


そんなことを思いながらいつものコンビニに向かって歩いていた。


コンビニに入ると、すぐに頼まれたジュースとポテチを発見してレジへ持っていく。


「いらっしゃいませー」


レジは若い女の声だったけど、特に気にも留めずに俺はポケットの中の財布を手に取る。

えーっと、合計は……と。


俺が小銭を探している……その時だった。


「……ヒナ君?」


……最近は滅多に呼ばれることのなかった名前が聞こえてきた。


俺の名前は日向と書いてヒュウガと読む。

でもヒナタとも読めるから、アイツ……光輝を筆頭に悠斗も昔はそう呼んでた。

そしてもう一人……

光輝と悠斗とはちょっと違って、「ヒナ君」と可愛らしく呼んでた女の子がいた……。


「杏……?」

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