あの日、言いたかったこと。
俺達の過去

小学四年生、夏――


俺と悠斗と光輝は地元の少年サッカーチームに所属していた。

幼稚園の頃から俺達三人はいつも一緒。

杏も時々俺達の中に入って一緒にはしゃいでたっけ。


特に何も変わりのなかった、夏休みのある日のことだった。

練習試合を三日後に控えた俺達。

そんな時、光輝が嬉しそうに俺と悠斗に報告をしてきた。


「今度の試合、母さんが観に来てくれるって!」


光輝の母親は病気で入院していた。

俺も小さい頃から世話になってて、何度かお見舞いに行ったことがあった。


そんなおばさんが観に来る。


おばさん、具合良くなったんだ……。

ホッとしたし、俺もすごく嬉しかった。


「だから俺、絶対次の試合でシュート決める!」

「頑張れ、光輝」

「おばさんに良いところ見せてやれよ」


そんな感じの応援する言葉を言ったと思う。

その時は本当に応援していた。
< 23 / 133 >

この作品をシェア

pagetop