あの日、言いたかったこと。
向き合って


「ひゅーが!!」


翌日。

学校に行くと、いつものように健太が俺に寄ってきた。


「健太……」

「おはよ!
あのさー、英語の宿題見せて!」


いつも通りだ……。

……変わらない。


ここに来るまで、結構な視線を感じてたし……今だって。

昨日、あんなことがあって……教室にいる奴らはみんな俺の方を見てひそひそ何か言っている。

なのに、コイツは……。


「……健太」

「ん?」


俺が名前を呼ぶと、健太はいつもの様子で俺の方を見た。


……普通だ。

コイツだけは……ビックリするぐらい。


健太は俺の顔を見て小さく笑った。


「俺は気にしないよ」

「え?」


俺が少し驚いて聞き返すと、健太はニーッと白い歯を見せて笑った。

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