社内恋愛のススメ



せめて携帯電話くらい、持ってくれば良かった。


何も持ってない。

財布とマンションの鍵、置いてきちゃったよ。


まぁ、いっか。

何か、もうどうでもいいや………。



相変わらず、頭の中はあの2人のことだけ。


グルグル。

グルグル。


お似合いの2人が並ぶ姿が、エンドレスに回り続けている。



止めて。

誰か止めてよ。


もう見たくない。

考えたくない。


こんなの、地獄だよ。


しんどいよ。

つらいよ。


ねぇ、上条さん。






私が意識を取り戻したのは、自分のベッドの中だった。


マンションまで帰って来たのはいいけれど、鍵を忘れてしまった私は自分の部屋の中に入ることが出来なくて。

ツイていたのは、たまたまそんな場面でマンションの管理会社の人が通りかかったこと。


事情を説明して、ようやく鍵を開けてもらうことが出来たのだ。



かなり不審な目で見られたのは、言うまでもない。



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