ピンキーリング【短編】
「じゃあな。」
あたしの家で拓ちゃんが言った。
「……うん。」
そう答えたけど、まだ手はつないだまんまだった。
なんか、あたしが離したくなかった。
「……なな?」
手を離さないままのあたしを不思議に思ったのか、拓ちゃんが優しくあたしの名前を呼んだ。
拓ちゃんが愛しい。
拓ちゃんと離れたくない。
ずっと拓ちゃんといたい。
そんな気持ちがあたしの中を駆け巡る。
「拓ちゃん、キスして。」
あたしから初めて言ってみた。
拓ちゃんがビックリしたような顔をした。
「なんか今日は積極的?」
そう言いながらも、ちょっと嬉しそうに触れるだけのキスをした。
「なな。」
「……うん?」
「同じ大学に合格したら、同棲したいな。」
拓ちゃんがいきなりそんなことを言いだした。
あたしと拓ちゃんは、偶然にも同じ大学を志望していた。
同棲とまではいかないけど、あたしもいろいろ考えて楽しみにしていた。
同棲という言葉が拓ちゃんの口から出てくるとは驚きだった。
でも、すごく嬉しかった。