16歳の天使~最後の瞬間まで、キミと~
「楽しいとこ」

「なっ……ちょ、え!?」



腕を引かれ、ズルズルと連れてこられたのは――私が校内で一番来たくない場所だった。

フラッシュバックする、消し去りたい記憶。

何が楽しいとこ、よ。

いじめっ子か、あんたは。



「俺、バスケ部なんだけど」

「……知ってる」

「あ、そ?なんかあったら、バスケしたくなんだよな」



わかるよその気持ち、痛いくらいに。

私だって、そうだった。

名良橋君は慣れた手付きで体育倉庫からバスケットボールを取り出し、私に投げた。

あ、大きい。

そうか、高校生になったらボールは7号になるんだもん、当たり前か。





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