§スウィート・ルージュ§~甘い秘密を召し上がれ~(完)

「咲和先生に、雑誌の取材が来てるのよ」


「はっ?!」


なんですとっ?!雑誌っ?!


驚いて、かつ乃先生のデスクに詰め寄る


先生は
机の引き出しから、名刺を取り出し
私の目の前に差し出した


「わ、私にですかっ?!」


名刺を受け取り
かつ乃先生と、名刺を交互に見た


「jewelryって
40代前後向けのファッション誌…ですよね?」


「えぇ、そうね…

実は、午前のレッスン生の吉本さんが
新しく変わった編集長と知り合いらしくてね

ウチの話をしたのよ

そしたらね、
その編集長が興味をもったらしくて…」


「はぁ…」


「でね、あさって
いらっしゃることになったワケ…」


「あさってデスカッ?!」


なんでまたそんな急にっ!


「だから、咲和先生、よろしくね!」


よ、よろしく、と言われてもっ…


「大丈夫よ、レッスンしてるところとか
奥様方との様子を取材しにくるだけみたいだから…」


だ、だいじょうぶ…って


私の喋る隙をあたえず、
かつ乃先生は喋り続ける

このまま、かつ乃先生のいいなりになっちゃいかんわっ


私も言わなきゃっ


「しゅ、取材はっ
かつ乃先生の方が適任だと思うのですが…

それに、生徒のみなさんの意見も…」


「あらーん、私は経営者だし、裏方だしね…

シワが多い私より、咲和先生の姿が
雑誌に載った方がいいに決まってるデショ

生徒さんたちは、大丈夫ヨぉ 吉本さんが
すでにみなさんの了解を得てくれてるから…

頼むわね、咲和せん、せ」


そう言って
ウインクなどをする…


う…


私に出来るのだろうか…






< 5 / 138 >

この作品をシェア

pagetop