§スウィート・ルージュ§~甘い秘密を召し上がれ~(完)

翌日


重い気持ちを引きずりながら事務所へと足を運んだ



「おはようございます」


「おはよ、咲和せんせ

あらぁ…?なんだか湿っぽい顔ねぇ

夜のレッスンが始まるまでには、その顔直してね」


「あ、はいっ すみません…」


「私、下にいるから、何かあったら呼んでね」


スタスタと事務所を出ていくかつ乃先生



やっぱり…わかっちゃうのね…

寝不足だったし、気持ちも下向きだし…


「はぁ…」


「なに、ため息ついてんすかっ?」



「へっ?!

あっ! 桜井くん…」


「2人きりの時は、直、でいいよ」


「ダメ、ちゃんと公私の区別しないと!!」


「はい、すみません、咲和せんせー」

ペコっと
頭を下げる桜井くん


「あれから、星川さんに何か言われたの?」


「あ、うん…まぁ…」


ずしん、と昨日の悟さんの言葉を思い出す


「お昼」


「へ?」


「昼飯、外食べにいこう!

たまには外で食べよう!」


気を利かしてくれたのか直は笑顔で私に言う


「うん、そうだね、たまにはね」


「じゃ、あとで」


私の頭を軽く撫で事務所を出ていった










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