秘密の2人
一紗は優羽が走り去るのを、ただ見送った。


「あら?イケメンが走ってるわね。」


立ち尽くしていた一紗の後ろから、ケリーがやってきた。


「一紗?何かあったの?」

「…いや。なんか…」

「?なんか?」


ケリーは何なの?という感じで一紗を横から覗き込んだ。


そしてハッとした。


「一紗….大丈夫?」


覗き込んだ一紗の顔は少し強張り、顔色も良くなかったのだ。


「なぁ…別棟から裏門に行くのに、最短のルートってどこだと思う?」

「え?最短の?」


一紗は少し何かを考え出したかと思ったら、急に別棟とは逆方向の廊下を走り出した。


「えぇ⁉︎ちょっと一紗⁉︎」


置いてけぼりになったケリーはボー然としていたが、一紗の様子がおかしい事が気になり、遅れて一紗の後を追いかけた。



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