秘密の2人


それに比べて、同じトップ入学者なのに優羽の人徳の厚さは桁違いだ。



近寄りがたい雰囲気があるのに、話してみたら人当たりがよくて優しい。

責任感が強く、求められていることに必ず応える。

優羽の教師、生徒からの信頼度は入学後一気に上昇した。



頭が良くて、容姿が良くて、印象より中身が優しくギャップがあり。



〔特に…女子のツボ全部掴んでるよね…。〕



蒼空は勉強する手を止めて、隣の席の優羽をチラリと見た。



黙々と勉強をする優羽の横顔を見て、



〔…男のくせに綺麗…〕



蒼空は優羽の完璧ともいえる容姿につい見とれてしまう。



自分は他の一般的な女子とは感性が違うと思っていたが、もしかしたら大して変わらないかもしれない…最近そう思うようになった。



〔違うのは愛嬌の問題かな…〕



普通なら〔男のくせに…〕なんて思わない。
蒼空はそれが普通だと思い込んでいるところが変わっているのだが、本人は全く気付かないのだ。



蒼空は勉強ばかりしていた生活の中に突然現れた『駒居優羽』が、後に自分の人生に大きく関わる事とは知らず、興味の対象として観察する日々をしばらく送ることになった。

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