くすんだ空を見上げれば

「二人で遊び行こうよ♪」
紅葉と居るはずなのに…。
そんな事を思いながら神谷へと近付く。




「バイク乗った事はある?」
「ないよ…」

そう言うとヘルメットをかぶらされて
「ちゃんと掴まってて」の言葉と同時にバイクは走り出した。



神谷の腰にしがみついているが初めて乗ったので怖い。





何分か経って慣れた頃に周りへと目をやる。


また違う景色が見えて楽しかった。







一時間近くバイクを走らせると目の前はキラキラと太陽に照らされ
風にユラユラと揺れる海が広がった。




バイクから下りると二人で砂浜まで歩いてきた。


今はまだ五月の半ば、さすがに遊泳してる人はいない。





「ありがと…」

小さく言うと「海好き?」と質問が返ってきた。




「分かんない…
汚いからちょっと嫌かな?」

人が捨てたゴミを見つめて言うと「まぁ、確かに」と神谷が頷いた。







ゴミ拾いしてる人が何人かいる。






「ねぇ神谷。
人が居なければ地球はもっと綺麗なんだろうね」


「そんな難しい事考えてたの?」
少し眉を下げた神谷。




「人が海を汚してる。建物とか光がなければ星も綺麗に見えると思う。」



「それは空が汚いって言ってたのと同じ?」


「違うよ。私には…」言葉を遮るかのように「夜外出れる?」と聞かれた。


「うん」
「電話するよ」


夜か…。何だろう…



それにしても人が居なければきっと…

人間は汚い。
最初から存在する意味なんて
なかったのかな。


< 36 / 123 >

この作品をシェア

pagetop