花の名前
あの、思い出の海は、


ちっとも変わっていなかった。


2年前に、トモと来た海。


あの時も、今と同じで、夏の始めだった。


海へ下る階段の隅っこに腰を下ろして、


水平線を眺める。



小さな港の近くの海岸で、いわゆる観光地では無いためか、

夏休み前の平日の今日は、


あたし以外に、人はぜんぜんいなかった。


車椅子の男の子と、その両親だろうか?


優しそうな男の人と、女の人が、並んで海を見ていた。


なんだか、いい光景だなぁと思った。


きっと、あの家族にもいろいろ辛いこともあったんだと思う。


だけど、両親の、男の子を見守る目が、とても優しい。



あれは、乗り越えた強さなんだろうか?


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