愛言葉

「ぇ、そうなの?」

「…でも、しょーがないから待っててあげようかな?」

「うん。そのほうが良いよ。もう暗いしね。」


そう言われて初めて気づいた。
窓の外を見ると、中々の薄闇と化した空が広がっていた。


「わっ。ホントだ。もう暗いー。」

「ね。早いの。日が落ちるのって。」

特に返す言葉も見つからなくて、沈黙が宙に浮く。


「じゃ、私、そろそろ帰るね。またね。」

「あ、うん。また、ね。」


ニコリと笑って、手を振る姿が、いつの間にか、教室の後ろの方にあった。


「えと。気を付けてね。」


私も、手を振りかえして、西郷さんを見送る。

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