炭酸アンチヒーロー番外編
ふと、彼が先ほどまでよりさらに歩くスピードを緩めたので、必然的に斜め後ろにいた私と並ぶ。
「まおは、パレードの衣装係だっけ?」
「、う、うん」
辻くんに顔を覗き込むようにしてそう訊かれ、私はどぎまぎしながらも、こくりとうなずいた。
彼はそんな私の様子に気づいていないのか、前を向いて「すげーな」、と感心したように呟く。
「俺、裁縫とか絶対無理だ」
「や、ミシン使うし、きっとそこまで手がこんだものにはしないんじゃないかな。……それより辻くん、せっかく背高いんだし、頼まれたファッションショーのモデル引き受けてあげればよかったのに」
「……それこそ勘弁」
必死に頼みこんでいたクラスの女の子のあの勢いを思い出したのか、眉を寄せ顔を歪めた彼。
私がまたふふ、と笑みをこぼすと、今度は「笑うな」、と軽く頭を小突かれた。
そのときこちらを見下ろす彼と、不意に視線が絡んで──私はまるで魔法にでもかかってしまったみたいに、そのまま動けなくなってしまう。
「まおは、パレードの衣装係だっけ?」
「、う、うん」
辻くんに顔を覗き込むようにしてそう訊かれ、私はどぎまぎしながらも、こくりとうなずいた。
彼はそんな私の様子に気づいていないのか、前を向いて「すげーな」、と感心したように呟く。
「俺、裁縫とか絶対無理だ」
「や、ミシン使うし、きっとそこまで手がこんだものにはしないんじゃないかな。……それより辻くん、せっかく背高いんだし、頼まれたファッションショーのモデル引き受けてあげればよかったのに」
「……それこそ勘弁」
必死に頼みこんでいたクラスの女の子のあの勢いを思い出したのか、眉を寄せ顔を歪めた彼。
私がまたふふ、と笑みをこぼすと、今度は「笑うな」、と軽く頭を小突かれた。
そのときこちらを見下ろす彼と、不意に視線が絡んで──私はまるで魔法にでもかかってしまったみたいに、そのまま動けなくなってしまう。