藍色
第十二章:小柳藍花
みんな、はじめましてーっ。あはっ♪
みんなのヒロイン、小柳藍花だよーなんちゃってー。
あたし、死んじゃった…
今は天国にこれたのか、よくわからないけど。
「神様ー、あたしは今、どこにいるのー?あたしはどうなるのー?」
これが、今の気持ち。だれも、聞いてないと思うと、悲しいなぁ…
「そなたが、昨日18時27分に死亡した、小柳藍花、えーと13歳、中1で間違いないか?」
「えーっ!!この人だれーっ。気持ち悪ーっ」
「神様にとってそれはないじゃろう。」
「か、か、神様ぁー!?」
「そうじゃ。わたしは、榎深作馬。榎深が名字で作馬が名前。そこんとこよろしくなっほっほっほ…」
「なんだ、神様じゃないのか。」
「だから、わたしは榎深作馬じゃよ。」
「その名前だけど、神に様じゃないでしょ。」
「でもな、わたしがこの世界で一番偉いんじゃぞ。」
「はぁー。」
「なんだそりゃ。」
「いやぁ…もう家族とかに会えないと思うと…見れないと思うと…ぐすっ」
「泣くなって。わしゃ榎深作馬じゃぞ。」
「榎深作馬はなんとかできるっていうの?」
「まかせてくれたまえ。」
「さすがに、家族とかと会話なんて無理に決まってるよ。あーあ。期待して損した。」
「無理とは言ってないじゃろ。」
「えぇー!?ありえない。」
「そなたを、一週間だけ小柳藍花として人間になってもらう。その間、家族や友達としゃべりまくったり、手紙書いたり、なにをしてもよし。」
「マジで言ってるの?」
「当たり前じゃ。」
「いつから?いつから?」
「今すぐでも構わないが。」
「今すぐがいい!!」
「わかった。じゃが一週間後のこの時間くらいになると、わしが声かけるからそのときにはもうなにもできないからそんなことないようにな。」
「1992*4♯♯111っ」
「なんじゃその暗号は。」
「携帯で、メールでやったらわかるよ。」
「そうか。じゃあ行ってらっしゃい。」
「行ってきまぁす!!」
…数秒後。
「わぁっ…いてて…」
「大丈夫ですか?転んだようですけど…」
「えっあぁ…大丈夫…ああっ!!」
「えっ?あー!!」
「先生!!」
「藍花さん!!」
「会えて嬉しいですっ」
「藍花さん…信じていいんですか…」
「はいっ!!一週間だけここにいますっ…あ、でもほかの人には言わないで下さい…手紙で伝えるんで。」
「わかりましたよ。」
「もし信じられないなら、明日以降あたしの家に行って親に聞いてみて下さいねっ」
「はぁ…」
「じゃ、また会いましょう!!」
…数分後。
「ただいまぁー!!」
「おかえ…えぇ!?」
「お母さんっ!!」
「あ、あ、あ、藍花なの!?」
「うん!!一週間だけだけど。」
「藍花ぁぁぁ…」
「お母さぁん…」
「騒がしいなぁ…えぇ!?お姉ちゃん!?」
「…愛海もぉー…」
「お姉ちゃん…死んだんじゃないの…」
「そんなこと言わないの。」
「でも…なんでいるの?」
「ひどいなぁ…一週間だけいれるの!!」
「えっ、なんで?」
「榎深作馬がもどしてくれたのぉ!!」
「神様?」
「あ、ちなみに漢字は榎本とかのやつに深いに作る馬っ」
「…榎深作馬ね。こってるなぁ…」
「それにしても、すごいねっ!!これからもずっとお姉ちゃんといられるっ」
「一週間ね。」
「あ、そっか。」
「ちょっとあたしみんなに手紙書くー!!バイバイっ」
「はぁーい」
「えーっ」
「書こうっと。まず誰から…。って封筒も便箋もないぃっ」
バタバタバタ…
「藍花、嬉しいのはわかるけど静かにっ」
「違う違う、封筒と便箋がないのぉっ」
「買いに行ったら?」
「うん!!お金please meっ」
「はいはい。」
「1992*4♯♯111っ行ってきまぁーす!!」
…数分後。
「ついたぁ。えーっと…クラスメートでさんじゅうろ…じゃなくて35、部活に…んー30くらい、つまり家族もいれて70?マジかぁ。」
…数分後。
「これにしよっ!!」
…数分後。
「ただいまぁー。」
「あら、はやいわね。」
「まぁ、近いしね!!」
「頑張ってね。」
「1992*4♯♯111!!」
バタバタバタ…
「今度こそ書こー!!まずリストを作ろ。」
1美緒梨
2伊藤…35
「はぁ。」
36由依S
37…
「つかれたー。」
…69愛海
「終わったぁ!!まず美緒梨からぁ。」
市川美緒梨様。
驚かしちゃったかな?
あたし、死んじゃったね…
こうして、手紙を書けるのは信じられないかもしれないけど、戻ってきたからなんだ。
実際会う勇気がでなくて…クラスメートは誰にも会ってないよ。
…美緒梨は、どう思ってるかわからないけど、あたしは本当に美緒梨が大好きだった。
最後の最期で…あんなふうになっちゃって…本当後悔してる。
あたしがいけないんだけどね…
ごめんね。美緒梨。
こんなこと書いてたら、なんだか泣けてきちゃった。
泣くために書いたわけじゃないのにね…
〔略〕
最後に。
生まれてきてくれてありがとう。
仲良くしてくれてありがとう。
本当に1992*4♯♯111…
大好きだよ。
いつまでもいつまでも“心友”でいてね。
小柳藍花より
「うぅっ…美緒梨ぃ…」
柏葉由宇紀様。
ごめんね。
あんなにそばにいてもらったのに、恩返しができなくて…
本当に、迷惑ばっかりかけてごめんね。
でもね…あたしは、由宇紀を好きな気持ちだけは負けない自信があるから。
本当だよ?
「あーもう…泣く。」
こうして、全ての手紙を書き終えた頃…
「うぅっ…ひくっ…わぁー」
藍花はボロボロ。
「もう…もどりたくないよぉ…どうなるかわからないじゃんー」
といって、眠りについた…
…数時間後。
「藍花ーごはんよー」
「…はーいっ。あーあたし寝てた…」
バタバタバタ…
「今日のごはんなぁにっ?」
「今日はねぇ、藍花の大好きなドリアよー。」
「ドリア大好きぃ!!やったぁ!!」
「よかったわぁ。うまくできてりゃいいんだけど…」
「きっと大丈夫だよ!!いただきまーす!!」
「ふふふ、ほんと食欲すごいわねぇ。」
「おいしい!!超おいしいよ!!」
「あら、ほんとに?」
「うん!!お母さんサイコー!!」
「あーら、ありがとう。」
「また作ってくれる?」
「もちろんよ。」
「ありがとぉ!!」
「あはは、藍花ったら。」
ガチャ。
「ただいまー」
「おかえりー」
「おかえりなさーい」
「はー疲れた…てえぇ!?あ、あ、お前は…」
「小柳藍花でーす!!」
「お前…どうしてここにいるんだ…」
「だめ?」
「いや、そんなことは言ってないよ…」
「よかったー。」
「お前…生き返ったのか?」
「一週間だけねー。」
「信じられない…」
「そんなにあたしが信用できないわけ?」
「いや、違う…」
「ま、とりあえず着替えてきたら?」
「そうだな。」
こうして1日は過ぎた─
「おっはよー!!」
「あいかわらず藍花は元気ねー。」
「なにそのオヤジギャグーあははー」
「あら、気づかなかったわ。」
「すごいね!!大発見だね!!」
「そうね。…藍花、今日は何するの?」
「今日はねぇ、先生のとこ行こうと思うんだ。日曜日だし。」
「先生と連絡取れるの?」
「昨日、教えてもらったの!!賢いでしょ。」
「あらぁ、さすが藍花ねぇ。」
「じゃ、朝ご飯ちょうだい。」
「はぁい。なにがいい?」
「パンなにがある?」
「クロワッサンと食パンかな。」
「ぜぇーったいクロワッサン!!」
「わかったわ。」
…数秒後。
「はい、どうぞ。」
「これめっちゃおいしいやつじゃーん!!」
「あら、そうなの?」
「うん!!あたし的には、だけどね。」
「また、買ってこようかしら。」
「うん!!食べたい!!」
「ふふふ。てか藍花全然進んでないよ?」
「えっ?あぁ…」
…数分後。
「ごちそうさまでしたぁっ」
「はーい。」
…数十分後。
「行ってきまぁす!!」
「行ってらっしゃい。」
ガチャ。
「はー、先生と会うの楽しみだなぁ。しかも2人きりで!!」
「藍花さん!!」
「きゃーっ先生ー!!」
「藍花さんに会えるの、わたしも楽しみでした。2人きりで。」
「2人きり…あっ!!さっきの聞いてました…?」
「あ、やっぱりばれた?」
「恥ずかしいですーっ」
「ふふっ」
「先生笑わないで下さいよー」
「ごめんごめん。で、今日はどうしたの?」
「いやぁ、ちょっと渡したいものがあってですね…」
「そんな緊張しないでよー。」
「へへへ。」
「なぁに、渡したいものって。」
「クラスメートのみんなに、手紙を渡してほしいんです。」
「手紙?」
「わたしからの、最期の手紙みたいな…」
「あぁ、はいはい」
「で、わたしがいなくなったあとに渡してほしいんです。」
「あぁ、わかった。」
「あと!!先生にもあるんで。」
「えー恥ずかしい…」
「これもわたしがいなくなったあとに…」
「気になるなぁ…」
「わたしとの最期の約束ですよ。」
「わかりましたよ。」
「指切りしましょ?」
「はーい。」
『指切りげんまんうそついたら針千本のーます。指切った。』
「シンプルねぇ。」
「幼稚っぽかったですね。」
「藍花さんが言ったんでしょ?」
「そうでした。」
「あははは…」
「先生…」
「はい。」
「大好きです!!」
「わたしもです、藍花さん。」
「ほんとですか!?」
「藍花さんが死んでしまってから…いろいろなことを教わったんです。」
「わたしから、学べること、ですか?」
「藍花さんから、ていうより、わたしのダメダメさに気付かされました。」
「えっ…先生の…?」
「はい。」
「なんですか、先生の短所って。」
「まず…わたしがよく、自分で時間を作れ、と言ってますよね。」
「あー。」
「とかいいながら、わたしが一番作れてませんでした。」
「えっ…」
「まだあるんですよ。」
「なんですか?」
「藍花さん、悩みごとかなんか、あったらしいですね。」
「えっ…なんでそれを…」
「由宇紀さんから聞きました。」
「あぁ。」
「生徒が悩んでいるのにもかかわらず、気付いてあげられなかった。」
「ほかにも、いるの?」
「いや…わからない…」
「そっか。」
「藍花さん。解決されなくてもいいから、話したかったって聞いたんだけど、本当なのかしら?」
「…そうです」
「今、話せることかしら?」
「あ、もう死んじゃったんで…無理です…」
「そう…もしなにか話したくなったらまた連絡してね?」
「はい!!」
「ほかはもう…大丈夫かしら?」
「はいっ!!」
「これからどうしようか?」
「え…先生時間大丈夫ですか?」
「そんなのー、藍花さんのほうが大事よ。」
「ありがとうございます、先生。」
「で、どうする?」
「…本当のこと言っていいですか?」
「いいよ?」
「おなかすきました。」
『あははははっ』
「どうする?どこがいい?」
「えー、マックでいいですよ。」
「今一番行きたい場所は?」
「サイゼリヤです!!」
「あら、そう。行きましょ。」
「あ、でも今はマックが…」
「今、一番行きたい場所って言ったんだけど?」
「えっ?間違えましたっ」
『あははははっ』
「さ、乗って乗って。」
「あ、ありがとうございます。」
…こうして一週間が過ぎた。
「はー、今日でまた…ひくっ」
「藍花ぁ…お母さんが変わりに死んであげたい…」
「お母さんは死んじゃだめ…あたしも死にたくないけど。」
「お姉ちゃん…」
「みんなぁ、本当にありがとう。天国に逝っても、あたしはずっとみんなを見守ってる。約束するよ。」
『ありがとお…』
「藍花、お母さんたちの娘になってくれてありがとうね。わたしの自慢の娘よ。もちろん愛海も。」
「お姉ちゃん、愛海のお姉ちゃんになってくれてありがとう。お母さん、お父さん、お姉ちゃんを産んでくれてありがとう。お姉ちゃんと別れるのは辛いけど、楽しかった。愛海の自慢のお姉ちゃんだよ。」
「藍花、お父さんの娘になってくれてありがとうな。俺にとって初めての娘で、大切な娘だよ。」
「お姉ちゃぁん…」
『藍花ぁ…』
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