甘いお菓子をピンクのリボンで結ぶ
小学生
 仲野達磨(なかのたつま)が通う高校の近くに小学校があり、楽しそうにお喋りしている子や本を読みながら歩いている子、お茶を飲んでいる子など、たくさんの小学生をよく見る。
 子どもに興味がなく、いつものようにさっさと通り過ぎようとしたときに目の前で少女が転び、ランドセルの中身が散乱した。目が点になったが、急いで少女を抱き起こした。

「大丈夫?」
「へ・・・・・・いき・・・・・・」

 半泣き状態になりながらも必死に痛みに耐えていた。少女の腕や足、顔などを見ると、どこからも血が出ていなかった。
 少女は地面に散らばった教科書を拾って集めようとしているので、達磨も拾おうとしたときに誰かが背中を叩いてきた。振り向くと、友達の奥積琉生(おくづみるい)が立っていた。
< 1 / 91 >

この作品をシェア

pagetop