裏面ワールドトリップ
私がこちらの世界へ来た時に着ていた服とは別に、部屋着のような衣類も用意されていた。


――この部屋の物は何でもご自由にお使いください――

という昨日の召し使いの言葉を思い出し、袖を通してみる。



アンティークな風合いの、ベージュのロング丈ワンピースと、同じ生地のボレロ。


ワンピースの襟はハイネックで、ボレロの裾にはレースがあしらわれている。


――可愛い……。


敵地でウェディングドレスを着るより、こっちの方がずっといい。


何だか私までお姫様になってしまったような気分だ。



部屋の一角に作り付けられた大きな鏡に、自分の姿を映して眺めた。


朝食の時間になり、召し使いが私を迎えに来るまで、飽きる事無く眺め続けた。
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