不完全な完全犯罪・霊感探偵瑞穂誕生【完全版】
 みずほの腕から力が抜ける。
それを見計らって、俺はもう一度キスをした。

やっと気付いた恋心を唇にのせて。


「何なのよ一体!?」
みずほが毒づく。
でも俺はその言葉を唇で消した。


自分でも思いもよらない程の激しい感情を、みずほの唇で感じたかった。


「好きになったんだ。それで充分だ」
勿論独りよがりだった。


どんどん愛しさが噴き出してくる。
俺は戸惑いながらも、みずほを抱き締め続けていた。




 「あんたなんか、あんたなんか大っ嫌い!」

みずほは昔、俺を睨んだ時の目をしていた。


そして語られた真意。


俺はまさかお祖母ちゃんの届けてくれたオムツが、みずほを傷付けたなんて思ってもいなかった。

「私の理想はあの格好いい保育士のお兄さん。あんたなんかとは比べ物にならないわ」

又みずほが毒づく。


「そうか。その理想のお兄さんにお漏らしを見られたから機嫌が悪かったんだ」


――バシッ!
もう一度みずほのビンタが炸裂した。




 「それでも、好きだ」
俺はもう一度みずほを抱き締めた。

みずほは俺より少しだけ背が低い。


(――良かった!
身長だけはまだ俺の方が勝っている!)

俺はそれだけで満足していた。

俺はみずほの胸の膨らみを抱き締めながら感じていた。


俺は中腰になってみずほの胸の辺りに頬を近づけた。


「さっきリレーでバトンタッチの時、この胸が俺の目に飛び込んで来た。だからあんなに速く走れたんだ」

俺は興奮して、自分が何を言っているのかも解らなかった。

そしてただただみずほを抱き締めていたかった。


「バカがあんたは」

みずほはそう言いながら、家族のいる地域席に戻っていった。




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