不完全な完全犯罪・霊感探偵瑞穂誕生【完全版】
 そのついでに、俺の携帯にも画像を入れてもらうことにした。
だって俺もきっと探すことになると思ったからだった。


俺は胸ポケットからガラケーを取り出した。

変えられないんだ。
みずほからの電話はもう来るはずないのに……


――ガラーン、ガラーン。

俺は未だにあの音色を待っている。

チャペルでの結婚式に憧れていたみずほが入れた着信音を。


もう二度と掛かって来るはずがないのに。




 スキンヘッドの彼のもガラケーだった。

防水機能の付いたタイプで開けるのに苦労した。

電池パック上のカバーを外そうとしたら、動かないんだ。


「ロックしてあるから」
彼はそう言いながら、隅っこにあるロックのバーを移動させた。




 電池パックを取り出し、マイクロSDのカードを引き抜いた。

それを専用カバーに入れパソコンの側面に挿入した。


セットアップしている内も、何だか上の空の彼。


(――本当に彼女の浮気調査だけか?)

俺は未だに彼のスキンヘッドを見ていた。


やがて……
隠し撮りしたと思われる画像がディスプレイに写し出された。




 (――うわー、可愛い!!)

俺は写し出された女性に思わず見入っていた。


アイドル並みのルックスに少し茶髪なロン毛。
まさに俺好みだった。
みずほと言うより、有美に似ている。
みずほの殺された事件のきっかけになった、有美の父親殺しの真犯人だと思う人物だった。


俺は有美が、父親の心臓に麻痺を起こさせて殺したのだと思っていたのだ。




 俺が何故有美を父親殺しの犯人だと思ったのかは、話せば長くなる。


イワキ探偵事務所に依頼した写真で、心臓に麻痺を起こさせて殺したのだと思っていたからだ。


彼女は浮気調査を叔父さんに依頼した。

その時撮った写真が犯罪に使用されたらしいのだ。

それは彼女の継母と、元カレの密会の証拠だった。


それを見た彼女の父親が心臓発作を起こし死亡していたのだ。


でも今はそんなこと考えてる場合ではない。

俺は頭を振りながら、又スキンヘッドの男性に目を移した。




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