不完全な完全犯罪・霊感探偵瑞穂誕生【完全版】
 スカル……
頭蓋骨……
髑髏……


でも今の俺はまさにこの形なのだ。

俺の目の前にあるのは、スキンヘッドにピアスだらけの……
俺の頭だった。


『新曲アピールするライブなら、もっとファンサービスしなくちゃ』

彼女にそう言われてさっきこの頭にして来た。

――今まで金髪だったからきっとみんな驚くぞ。

そう思っていた。
マジで……




 ――何故見えるんだ!?

又繰り返す。

俺は今本当に死んでいるのだろうか?


その時……
エレベーターが開いた。


「ギャーー!!!!!!」
大悲鳴が聞こえる。


でもその途端、俺の頭は見えなくなった。


――俺は死んだのか?


――なあ、俺の頭は今何処にある?

――誰か教えてくれー!!




 次の瞬間。
俺は垣間見た。

俺の頭が、まだエレベーターの前にあることを。


――鏡か!?

俺はやっと、理解した。


それと同時にもう一つ……


ゴールドスカルも垣間見た。


それは野次馬の中の……


彼女のストーカーが手にしていた。


偶々俺が目撃して……
彼女に話したんだ。
でも彼女は信じなかった。
ソイツとは幼なじみで、親友だと言っていた。


彼女は俺が嫉妬したと思っていたようだ。




 俺は思い出した。

エレベーターの中に帽子を目深にかぶったソイツがいたことを。


多分ソイツはエレベーターが閉まる前にゴールドスカルを掴み、そのまま移動させたんだ。

丈夫なチェーンが俺の頭を此処に落とした。




 ソイツにとって俺は邪魔な存在だった。
だから、この計画を企てたんだ。


彼女が心配だ。
物凄く心配だ。


俺は……

最期に僅かに残った意識の中で、ゴールドスカルに憑依することを決めた。

ストーカーがそれをポケットにしまうの前に。


ボーンヘッド……
ヘマ遣っちゃったからな。


ストーカーの存在に気付きながら、何の対処もして来なかったからな。

せめてもの罪ほろぼし……

俺は絶対に彼女を守る!!

俺と同じ状態の、あのゴールドスカルになって……




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