大人の恋愛~背徳の行方~
梨桜の手紙を読んで、螢は、自然と涙が出てきた。

「梨桜・・・・・・・梨桜・・・・・・・」

螢は、後悔していた。

自分の我儘で、梨桜を縛り付けようとしたことを・・・・・

本当は、留学を、喜んでやりたかったことを・・・・・

本当は、愛していると、言いたかったことを・・・・・・

今となっては、後悔しか残ってなかった。

梨桜との連絡を、拒絶するようになってからは、余計な事を考えたくなくて
仕事に励んだ。

人の何倍も仕事をし、とにかく忙しくしていた。

同期の黒木は、心配していたが、螢が何も言わないので、無理に
聞くこともなく、黙々と、螢に付き合ってくれていた。

真紀や真由美も、暫くすると、螢の異常に気が付いたが、
黒木に言われたのだろう、黙って見守っていてくれた。

そんな風にして、3か月を過ごし、螢は、8月に渡米するはずの梨桜と
もう少し気持ちが落ち着いたら、会うつもりでいたが・・・・・

まさか、こんなに早く渡米するとは・・・・・・

後悔だけが残ってしまう別れだった。

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