学園アイドルRTD
3年後




「ママ〜」

「どうしたの?美龍」

「うぅ〜」

「泣かないの。

ほら、お父さんが野球してるわよ。

見て、ほら。」

「わぁ!パパだ〜!」

「カッコいいね〜。

美龍もいつか、お父さんみたいに優しくて、

どこかに強さを兼ね備えた女の子に、なれるといいね」

「?」


3歳になった美龍は、

まだ、私が言ったことは、理解できないみたいだったけど、


テレビの中で誰よりも懸命にボールを追う龍太郎をじっと、見つめていた。

「もう少し大きくなったら、貴方に話したいことがあるの。

私と、あの人の、恋のお話を…」

私は、

今も昔も変わらずに野球少年であり続ける夫を見ながら、

大切な我が子に、語りかけた。


end
< 344 / 347 >

この作品をシェア

pagetop