TABOO~それぞれの秘密~

ライトアップされた寒梅の間を手を繋いで歩きながら、私は呟いた

「進さんから言われました。私たちの笑顔の写真を送って欲しいと」

私との婚約解消を波風立てずに終えてくれた進さんは、親友である章吾さんと私の写真を送ってくれと、綺麗な笑顔で願ってくれた

「そうか、じゃ、ここで撮って送ろうか?恋人には縁起のいい場所らしいから。
進にも……良いご縁があるように」

「はい。それがいいと思います」

闇夜の寒梅を照らす照明を受け、章吾さんのスマホで私達を映した

ほんのわずかな時を、婚約者として過ごした進さんが、愛し愛される幸せをその手で手繰り寄せられるようにと願い、そっと章吾さんと寄り添った

章吾さんの吐息を感じるほどに近い距離で笑い合った写真には、私たちの未来を見守るような寒梅が、闇に映えていた


fin

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