中距離恋愛



「あるとしたら机の中だと思うんだけど~…」


普段バッグには携帯を入れないし、
そういえば昼休みから弄った記憶が無い。

机の中を漁ると、指が硬い感触を捉えた。


「はっけーん」


あってよかったと一安心して、教室を出る。

別に急いで真都を追いかける気も無いから、
マイペースに廊下を歩いた。

…だから、玄関に着いた時、驚いた。


「…え、何で」

「おー。あった? 忘れ物」

「え、うん、あったけど…」


何で居るの、なんて聞く必要も無い。

待ってた事くらい、見ればわかる。


「…先に行って、って言ったのに」



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