きみと泳ぐ、夏色の明日


「須賀ってバカだよね」

心で思ったことがつい口に出てしまった。だって須賀がヘンなことばっかり言うから。


「そういう間宮は言っちゃいけないことを平気で言うよな」

怒ってると思いきや、須賀はどこか笑ってるようにも見える。


「言っちゃいけないことなんて言ってない。本当のことじゃん」

また強気な発言。これだから周りから敬遠される。

ずっと強くいなきゃって暗示をかけ続けていたら、いつの間にかこんな自分になっていた。


「それと愛嬌がなくて可愛げもない」

私にとどめを刺すように須賀が付け加えた。

図星なんだけど他人に言われるとやっぱり腹がたつ。


「それって悪いこと?別にいいじゃん」

私は不機嫌になりながら、そっぽを向いた。


ってかなんでこんな話になってんの?私の用はもう終わったんだけど。


「うん。いいんじゃん?。愛嬌があって可愛げがある女子ほど裏があるから」

「………」

「それに比べて間宮はない。いいことじゃん」


やっぱり須賀はバカだ。

水泳にしか興味がなくて人を見る目もない。

だから全く予想しないことを言ってきたりするんだ。


「じゃ、俺練習あるから。気をつけて帰れよ」

こっちの気持ちは置いてけぼりのまま、須賀は部活へと戻っていった。

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