後宮に売り飛ばされたら皇女を押しつけられました
「死者に関する禁忌の術はいくつかあるんだけど――魂を殺して、肉体だけ操るとか。死者の霊魂を呼び出して、生きた人間の肉体を乗っ取らせるとか」

 ベリンダは指を折って一つ一つ、思いつく魔術を上げていく。

「後は死者を生き返らせる――この場合は、元の肉体の魂が肉体に宿ることになるんだけど。これも難しいんだよねぇ」

 自分はやったことないけれど、とベリンダはつけ足した。

「まあ、あの世と会話するくらいなら街角の魔術師崩れもやるだろ? あれも本当はあまりよくないんだけどね。あたりにいる何の関係もない霊を呼びよせたりするからさ。

 でも、ジェンセンが調べていたのはそんなレベルじゃない――最後に読んでいた本から判断すると、死者を生き返らせて自在に操ろうとする死者操術が一番可能性が高いかな」

 エリーシャは興味深げに、ベリンダの並べた本を眺めている。
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