後宮に売り飛ばされたら皇女を押しつけられました
「二人とも、どうやって調べてきたんだか」

 アイラは手渡された紙を広げる。セシリー教団の信徒たちが日頃どんな生活を知っているのか、そこに記されていた。

「こちらの国では、セシリーとやらは神格化されているようだな」
「目が見えないふりをしてるって、父は言ってましたけどね」
「帝国内では、使者の声を聞くのは禁じられているが、ダーレーンではそうでもないらしいからな」

 できるだけ早く、パリィと合流しなければならない。よその国から入ってきた信者たちが集まっている場所まで、フェランがよこした紙には記されていた。

 国内何カ所かに分かれているその場所を順番に探していくしかないのだろうか。

「フェランとライナスが調べてきてくれたこの場所にいるとも限らないしな」

 イヴェリンの指が伸びて、アイラから紙を奪い取る。そして、彼女は光源となっている蝋燭で、紙に火をつけた。
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