後宮に売り飛ばされたら皇女を押しつけられました
 エリーシャはにっこりしつつひきつりながら、ダーシーに食後のお茶を勧める。

「わたしの客間に移動しましょうよ。アイラも一緒に来なさい」

 食堂の後かたづけは、イリアとファナにまかせることにした。
 
 ダーシーを客間に案内し、アイラは厨房に走る。厨房でお菓子を用意してもらっている間に残り物を挟み込んだサンドイッチを大急ぎで飲み込んで、ワゴンを押してエリーシャのところへと戻った。

「あれ、ベリンダさん」

 皇后宮につとめる侍女のところに行っていたはずのベリンダが戻ってきている。

「ダーシー様は?」
「客間に、エリーシャ様と」
「そう、それじゃわたしも一緒に行こう」

 アイラと一緒になって客間に行くベリンダの顔はこわばっていた。
 
 皇后のところで何を聞いてきたのだろう。ベリンダの表情に気づいたアイラもまた、緊張し始めるのを感じていた。
 
 
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