後宮に売り飛ばされたら皇女を押しつけられました
「それって、騎士の仕事じゃないぞライナス」
「皇女殿下のご命令だ」

 ライナスは丁寧に頭を下げ、フェランは両腕を広げた。

 出た裏口から、同じようにエリーシャとアイラは皇女の部屋へと戻っていった。
 エリーシャの寝室は、茶と白、それに淡い黄色でまとめられている。どっしりとしたベッドには薄黄色のカーテンがかけられていた。

「アイラは、こっちのベッドね」

 アイラに指示されたのは、エリーシャの部屋の片隅に置かれているベッドだ。皇女ののものほどではないが、こちらも立派で寝心地が良さそうだ。

「侍女たちの部屋にお風呂があるから、使ってらっしゃい。それが終わったら、こっちに戻ってきて」
「あの、エリーシャ様は?」
「イリアに浴室の用意させるから大丈夫」

 追い立てられてアイラは侍女の部屋に戻っていった。ファナがアイラに侍女たちの使う浴室の使い方を教えてくれる。
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